2010.02.19
その南町の昼行燈同心の名は、中村主水
僕が幼少の頃、まだTVドラマじゃなくて、今の吉本新喜劇のようにセットの中で生本番を
やっていた『てなもんや三度笠』って番組があった。あんかけの時次郎の決め台詞は、
「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!」
いきなりスポンサーのCM(笑)
そういう時代だったんだけど、それはそれで一世を風靡して、僕の脳内に刷り込まれた。
関係ないけどこの番組で「ひっじょーにきびしぃ~!」「~してチョウダィ!」と云ってたのは
今をもって芸風が変わらないタケモトピアノの財津一郎さんです。
この3つの決め台詞は、谷啓の「がちょ~ん」と共に、時々僕の口を衝いて出るので、周りに
白い目で見られることも多々あります。
世の中の、善と悪とをくらぶれば、恥ずかしながら悪が勝つ。神も仏もねえものか。
浜の真砂は尽きるとも、尽きぬ恨みの数々を、晴らす仕事の裏稼業。お釈迦様でも気がつくめえ。
中村主水は、僕にとってのアンチヒーロー、アンチテーゼの代表格でした。
ただの正義感による勧善懲悪でなく、仕事料をもらわないと仕事をしない。
青臭い正義感だけで人を殺めていたら、殺しのからくり人形になってしまう。
仕事料ををもらうのは、人として留まる為だ。みたいなことを主水が云ったことがあった。
悪人を殺めるために、自分を貶めてから仕事を行なう中村主水。その背中は僕を惹き付けた。
間違いなく藤田まことは、僕の中では時代劇で最高のヒーローでした。
謹んでご冥福をお祈りします。